定番CPUクーラー「虎徹 Mark Ⅱ」の取り付け方と冷却性能を調べてみる

 
ほとり
こんにちは。「ほとり」です!
 
先日、サブPC用にサイズ社のCPUクーラー「虎徹Mark Ⅱ」を購入しました。
2013年に発売された先代にあたる「虎徹」が大ヒットし、それの後継モデルとして2017年に虎徹MarkⅡが登場しました。手頃な価格で確かな冷却性能、それでいて静音性にも優れる同製品は、長きに渡ってCPUクーラーの定番として人気です。
 
今回は、そんな虎徹Mark Ⅱの組み立て方や冷却性能について調べていきます!
 
 
ほとり
虎徹Mark Ⅱは、発売から早4年が経過しているのに、今もなお売れ続けているロングセラーです。
 

虎徹Mark Ⅱの仕様

先代と比較して、扱いやすくなったエントリーモデル

 

サイズ オリジナルCPUクーラー 虎徹 Mark II

虎徹Mark Ⅱ
取り付け方法バックプレート方式
寸法(付属ファン含む)横幅 130mm  x  高さ 154mm  x  奥行き83mm
ヒートパイプ口径6mm × 4本
ヒートシンク

シングルタワー型

付属ファン サイズ120mmファン
回転数300  〜  1200 rpm

ノイズ

4.0  〜  24.9 dBA
風量16.6  〜  51.17 CFM
コネクタ4pin
対応ソケットIntel/ LGA775, 115x, 2011(v3), 2066   AMD/ Socket AM2, AM3, AM4, FM1, FM2
製品重量645g
平均故障寿命(MTTF)120,000時間
保証1年
価格3608円(2020年10月現在 変動あり)

 

虎徹Mark Ⅱは、PCケースの前面から背面へと風を送るサイドフロー型。そして、専用の金具をマザーボードに取り付け、ネジでクーラーを固定するバックプレート方式になっています。

 

また、ニッケルメッキ処理が施された6mm径のヒートシンクを6本搭載。高さは先代の160mmから6mm低くなって154mmとなっており、省スペースなミドルタワーにも搭載可能になりました。

対応ソケットは現在主流なIntel / AMDソケットに対応。製品保証は1年で、価格は3000円台で流通しています。CPUクーラーの中では安価な部類に入りますね。

ナロータイプフィン構造・オフセット設計を採用し、メモリやグラフィックボードの干渉を防止します。後ほど詳しく見ていきます。

 

 

虎徹Mark Ⅱを開封する

安さを感じさせない堅実な設計

kotetu mark 2

虎徹Mark Ⅱが到着しました。

「虎徹弐」とも表記されているんですね。また、記事執筆時点ではIntelの第10世代が販売された後ですので、LGA1200対応のラベルが確認できます。

 

kotetu mark 2 parts

 

付属品をチェックします。

  • ヒートシンク
  • 120mmファン
  • ファンクリップ
  • スタッドナット
  • バックプレートキット
  • スペーサー
  • Intel用マウンティングプレート
  • AMD用マウンティングプレート
  • 各種ネジ
  • グリス
  • 説明書

 

ヒートシンク本体
120mm fan

 

 

backplatekitmountingplate intel amd

ナット・各種ネジ・グリス

 

ヒートシンク本体や120mmファンの他にも、細かい付属品が結構な数あります。グリスは袋に直にベタ塗りされているので、へら等のグリスを塗るための道具があると便利です。

また、別売りのCPUグリスを使っても問題ありません。むしろそっちの方が冷却性能は上がるかもしれません。僕は、シルバーグリスを使いました。

kotetu mark 2 height

ヒートシンクの本体を見ていきます。寸法は横幅 130mm  x  高さ 154mm  x  奥行き83mmです。先代の160mmから6mm低くなって扱いやすくなりましたね。高さ154mmであれば、ミドルタワー以上のPCケースなら大体入ると思います。

物によってはMini ITXのみ対応のPCケースにも搭載可能ですよ。

 

 

kotetu mark 2

虎徹Mark Ⅱのヒートシンクはアルミニウム製の放熱フィンを46枚で構成しています。段差を作り、中央に位置する形状の違うフィンを、左右と異なるスペースで配置しています。エアフローの効率化を意識した設計になっていますね。

 

cpu fan

底面を確認していきます。CPUの熱を吸収する受熱ベースプレートは銅製で、確かな熱伝導性が期待できます。

ヒートパイプは口径6mmが4本搭載されており、酸化を防止するニッケルメッキ処理が施されています。分厚い受熱ベースプレートにしっかりと密着され、CPUからの熱を分散させ、放熱フィンへと効率よく逃がします。

 

3000円台のCPUクーラーとは思えない、堅実な作りです。

 

120mm fankaze flex

 

付属ファンは同社の「KAZE FLEX 120」です。低価格ながら確かな風量を提供し、静音性にも優れる120mmファン。CPUクーラーに限らず、ケースファンとして使っても優秀な製品です。

 

 

虎徹Mark Ⅱの取り付け方法を画像で解説

マザーボードにCPUを取り付けておく

cpu fan set motherboard

あらかじめ、CPUはマザーボードに取り付けた状態にしておきましょう。

 

 

バックプレートキットをマザーボードにはめる

motherboard backcpu cooler set

そのままの向きでひっくり返して、マザーボードの裏面を確認すると、CPUソケットの周りにバックプレートキットを取り付ける穴があります。この穴に、突出した金属部品を差し込むように、バックプレートキットをはめていきます。

 

バックプレートキットにTOPと表記されたほうを上にして取り付けてください

cpu fan back plate kit

バックプレートキットは一見、上下左右対称に見えるかもしれませんが、微妙に構造が異なります。TOPと表記された方を上にして(この場合、TOP表記の左側にメモリスロットが来るように)はめるのが、正しい取り付け方法です。

僕は虎徹デビューした時は、向きに気づかずに、後に行うマウンティングプレートの取り付けができなくなり、一度外す手間を取りました笑

 

kotetu set

バックプレートキットをマザーボードにはめたら、再度マザーボードをひっくり返して元の状態に戻します。

この時、はめこんだバックプレートキットを手で外れないように抑えながらひっくり返してください。バックプレートキットははめただけで、まだ固定されていない状態なので、そのままマザーボードを浮かすとスポッっと抜けてしまいます。

 

kotetu mark 2 set

スペーサーを取り付けます。マザーボードに触れてもいいので、指で回すように下げれるところまで押し込みます。

 

マウンティングプレートを取り付ける

cpu coolerkotetu kit

マウンティングプレートを取り付けます。今回はIntel CPUを準備しているので、Intel用マウンティングプレートを使って説明していきます。

 

cpu cooler socket

マウンティングプレートは、CPUソケットの種類によって取り付ける穴の位置が異なります。今回はLGA1151チップセットなので、真ん中の穴に金属部分が来るように取り付けます。

 

AMD用のマウンティングプレートも、ソケットによって穴が異なるので注意してください。AM4ソケットと、それ以外のソケットで穴が別れているはずです。

公式の取扱説明書にも、イラストでマウンティングプレートのソケットごとの取り付け方が記載されているので、確認してみてください。⬇

▶ 虎徹Mark Ⅱ 製品マニュアル

 

cpu cooler グリス

プラスドライバーでナットを取り付けて、マウンティングプレートを固定します。ここまで来れば、バックプレートキットもマザーボードにしっかり固定されるようになります。

そして、この時点でCPUグリスを塗布します。山形やペンキ塗りでも、お好みでどうぞ。

 

受熱ベースプレート受熱ベースプレート剥がし

ヒートシンク本体を取り付ける前に、受熱ベースプレートの保護フィルムを剥がしておきます。剥がしておかないと、冷却効率が激減します。

 

ヒートシンク本体を取り付ける

cpu cooler kotetu set2

kotetu set 2

 

ヒートシンク本体を取り付けていきます。2枚目画像のように、メモリスロットとの空間が広く取れるのが正しい向きです。赤丸のネジを左右少しずつ回していきながら固定します。

片方のみをしっかりネジ止めしてしまうと、ヒートシンクが傾いてアンバランスになってしまいます。CPUと受熱ベースプレートに僅かな空間も出来てしまい、適切に冷却できなくなるので注意してください。

 

cpu fan 120mm

ヒートシンクに付属ファンを取り付けていきます。ロゴがある面が吸気側で、こちらをメモリスロットがある向きに合わせます。

 

付属ファン ファンクリップ

ファンクリップを付属ファンに引っ掛け、画像のようにヒートシンク側に引っ張ると取り付けることができます。

 

kotetu mark 2 cpu cooler set

これで虎徹Mark Ⅱの取り付けは完了です!

 

 
ほとり
マザーボードにファンコネクタを指すのを忘れずに
 

cpuクーラー クリアランス

CPUクーラー 虎徹Mark 2

 

これが、虎徹Mark Ⅱのナロータイプフィン構造になります。幅の狭い放熱フィンを用いることで、付属ファン取り付け時でもメモリスロットとの十分なクリアランス(物理的空間)が確保されています。

また、受熱ベースプレートが、ヒートシンクの中央から少しズレているのがわかると思います。放熱フィンを多少ズラすオフセット設計により、メモリスロットとグラフィックボードとの物理的干渉を防いでいます。

 

虎徹Mark Ⅱの冷却性能は?

動画エンコード時のCPU温度を計測してみる

aviutl

虎徹Mark Ⅱの冷却性能を調べていきます。CPUにとって高負荷な動画エンコード中の温度を見ていくことで、虎徹Mark Ⅱが実用に耐えうる冷却性能があるのかがわかります。

テスト環境は以下の通り。

テスト環境
CPUIntel Core i7 9700K
グラフィックボードASUS RTX2070 SUPER  (DUAL-RTX2070S-O8G-EVO)
マザーボード

AsRock Z390M Pro 4

メモリDDR4 2666Mhz 8GB×2
SSDADATA XPG SX8200 Pro 500GB
CPUクーラー虎徹Mark Ⅱ
電源ユニット750W (80+認証 GOLD)    Antec NE750 Gold
OS

Windows10 Pro

使用グリスはシルバーグリス(Arctic Silver 5)
室温は26度
CPUのコア電圧は4.8Ghz(1.31V)・5.0Ghz(1.40V)
 
 
ほとり
結構電圧上げないと安定しなかったから、正直当たり石ではなかったかも…

動画編集ソフトは、Aviutlを使っていきます。約16000フレーム(4分ほど)のフルHD動画をH.264形式でエンコードします。

お詫び
記事公開時の、温度計測に使用したHWMonitor Proの結果を誤って読み取っていました。
更新日に掲載した温度を正しい値に修正してあります。

 

aviutl-h.264-i7-9700k

画像をクリックすると拡大できます。

 

Intelの 第9世代CPU「Intel Core i7 9700K」は、平均74℃最大78℃という結果になりました。78℃という数字は、若干高いかなという印象ですが、瞬間的に計測された値なので全く問題ありません。虎徹Mark Ⅱはi7 9700Kの定格を十分に冷やすことが出来る冷却性能があります。

また、僕が使っているCPUグリスは1300円のシルバーグリスです。更に上位の2000や3000円するCPUグリスであれば、更に2,3度温度を抑えることも可能です。

 

aviutl-h.264-i7-9700k-OC-4.8Ghz

オーバークロックを施してクロックを4.8Ghzに引き上げました。平均温度は76℃。最大84℃という結果になりました。80℃近い数字は人によっては気になるかもしれません。9700Kの4.8GhzOCは個人的には許容範囲ですが、多少力不足といえます。

虎徹Mark Ⅱでi7 9700Kを冷やすのであれば、4.8Ghz OCまでが限度かと思われます。

 

 

aviutl-h.264-i7-9700k-OC-5.0Ghz

オーバークロックも5.0Ghzに達すると、虎徹Mark Ⅱは全くいらない子になってしまいます。平均温度は86℃、最大温度は97度に達しました。さすがに、90℃を軽く超えてしまうのは問題だと思います。CPUだけでなく、周りのパーツにも悪影響を及ぼす可能性があります。

ちなみに、僕が今回検証に使用したi7 9700Kはハズレ石な気がしており、電圧も高めに設定しているのでこのような結果になりました。ですが、当たり石だとしてここから5℃近く温度が下がったとしても、虎徹Mark Ⅱでは完全に力不足です。

 

 

サーマルスロットリングとは?

サーマルスロットリングとは、稼働中のCPU温度が上昇しすぎた場合に、温度を下げようとしてクロック周波数を強制的に下げる機能のことです。


CPUの動作や耐久性に異常をきたす程の高温になる場合に機能する安全装置であり、クロックが制限されることによりCPU本来の性能を引き出すことができなくなります。
サーマルスロットリングが動作してもなお、温度が改善しない場合はPCの電源が勝手に切れる(強制終了)こともあります。

PCを使う時は、サーマルスロットリングが発生しないように、適切な温度対策を行う必要があると言えます。

 

 

Core i7なら冷やすことが出来る

Core i7 9700K
平均温度最大温度
定格74℃78℃
4.8Ghz OC76℃84℃
5.0Ghz OC86℃97℃

 

虎徹Mark Ⅱは、今回検証に使用したCore i7 9700Kの定格を冷やすことが出来ると判明しました。4.8Ghzのオーバークロックでも、個人的には許容範囲な数字ですが、ここは人によるでしょう。OCするにしても、おおよそ4.5~6Ghzまでが安全圏だと思います。

 

そして、5GhzのOCでは全然ダメです。i7 9700Kの本来の性能を十分に引き出すことができません。

最新世代のi7 10700Kは、9700Kと比較してダイサイズを薄くし、CPUの外側を覆っている殻が分厚くなったので、冷却効率が良くなっています。i7 10700Kも、定格であれば冷やせると予想できます。i9はコア数が増加し、クロックも上昇しているため虎徹MarkⅡでは十分に冷やすことは出来ないと思われます。

 

虎徹Mark Ⅱは、安価ながら高性能CPUも冷やせる万能クーラー

kotetu mark 2 cpu cooler set

・Core i9には力不足
虎徹Mark Ⅱは、Core i7 9700Kの定格をしっかり冷やすことが出来ていました。しかし、オーバークロックを施すと瞬く間に温度が上昇し、安全に運用するには力不足でした。
このことからも、コア数が増加されてクロックも上昇したCore i9は虎徹Mark Ⅱでは十分に冷やすことは出来ないでしょう。まあ、とは言ってもCore i9クラスをしっかり冷やせる性能を3000円台のCPUクーラーに期待するのもおかしな話ではあるのですが。
 
・Core i7も、定格ならしっかり冷やせる
・フル稼働中も、音はだいぶ静か
・高さ154mmと低く、搭載できるPCケースが多い
・メモリやグラフィックボードに干渉しない
・3000円台と低価格
虎徹Mark Ⅱは、3000円台という低価格なモデルでありながら、Core i7クラスのCPUを冷やせる冷却性能を持っています。
また、これは完全に僕の体感ではありますが、静音性に関しても虎徹Mark Ⅱはフル稼働中でも高鳴るような騒音を出しません。僕は音がしないのも逆に不安だと考えるタイプなのですが、虎徹Mark Ⅱは確かな冷却性能が証明されています。適切に冷やしながらも、静かに動作するというのは、まさしく虎徹Mark Ⅱの工作精度の高さを示しています。
 
高さは154mmと低くなり、搭載できるPCケースの幅が広がりました。また、ナロータイプフィン構造とオフセット設計により、メモリとグラフィックボードとのクリアランスを十分に確保出来ているため、取り回しが利きやすく、汎用性が高いです。
この完成度で価格が3000円台と考えると、コストパフォーマンスはかなり優秀
 
 
ほとり
発売されてから3年経ってもなお、定番CPUクーラとして人気なのも納得です。
 
 
以上「定番CPUクーラー「虎徹 Mark Ⅱ」の取り付け方と冷却性能を調べてみる」でした!
 

サイズ オリジナルCPUクーラー 虎徹 Mark II